【大田発】世界遺産・扶余日帰り観光モデルコース|名物ハス料理と『鉄仁王后』ドラマロケ地を巡る旅

昨夜は大田(テジョン)の賑わいの中で絶品の熟成肉を味わい、聖心堂のパンに長年の伝統を感じる、充実した時間を過ごしました。モダンな大都市としての魅力を持つ大田ですが、ここを拠点に少し足を伸ばすと、また違った韓国の深い表情に出会うことができます。

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今回は、大田からバスで約1時間20分ほどの距離にある百済(ペクチェ)の古都・扶余(プヨ)を訪ねました。

ソウルからの日帰りでは少し慌ただしくなる扶余も、大田を起点にすれば心地よいペースで巡ることができます。歴史ロマンが息づく世界遺産の街の魅力とともに、地方旅だからこそ知っておきたい移動の手順や決済の留意点など、実際に歩いて得た気づきを落ち着いた旅の記録として綴ります。

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移動の選択。東横INNから西南部バスターミナルへ

今回の滞在先は、利便性と安心感を兼ね備えた「東横INN大田政府庁舎前」です。ここで静かな朝を迎え、まずは扶余行きの市外バスが発着する「西南部バスターミナル(대전서남부터미널)」へと向かいました。

大田の西南部バスターミナルは、中心部や地下鉄の駅から少し離れた場所に位置しています。慣れない土地で公共交通機関を乗り継ぐと相応の時間と労力がかかるため、ここは配車アプリなどを活用してタクシーを呼ぶのが賢明な選択と言えます。

ホテルの目の前から乗車し、ターミナルまでは遮られることなく15分から20分ほどで到着します。

タクシーを降りると、近代的な「大田複合ターミナル」とは対照的な、どこか懐かしい昭和の面影を残すレトロな佇まいの西南部ターミナルが静かに迎えてくれます。

💡 大田西南部ターミナルでの乗車手順

待合室へ一歩入ると、かつて多くの旅人が行き交ったであろう広々とした空間が広がっています。現在は合理化が進み、有人のチケット窓口が閉まっている時間帯も多いため、主に「カード専用の自動券売機(무인발권기)」を利用することになります。

画面の案内(日本語選択可)に従い、「現場発券(현장발권)」から目的地である「扶余(부여 / Buyeo)」、希望の時刻、人数を選択して決済へと進みます。

ここで留意したいのが、海外発行のクレジットカード(特にJCBブランド)は、現地の端末のシステム上の理由によりエラーになるケースが散見される点です。必ずVISAMastercardなど、決済ネットワークの異なるカードを複数枚用意しておくのが、地方旅をスムーズにするコツです。

発券された紙の乗車券を手に、「扶余・論山(부여・논산)」方面のプラットホームへ。フロントガラスに「부여」と記されたバスが到着したら、運転手さんに切符を提示して乗車します。座席は基本的に自由席ですので、好みの席に腰を落ち着け、窓外に広がるのどかな田舎風景を眺めながら、おだやかなバス旅を楽しみます。


地方決済の現実。VISAカードや現金の備えを

韓国は世界屈指のキャッシュレス社会ですが、それはあくまで国内決済網が前提です。先述のバスターミナルの券売機に限らず、地方の個人経営の飲食店や昔ながらのお土産店では、海外発行のJCBカードが対応していない場面が多々あります。

大都市のチェーン店や日系ホテルでは問題なく使えても、地方へ一歩足を踏み入れると勝手が異なるのが旅の現実です。

今回の旅でも、手元にあったVISAカードが確実な決済手段として大いに役立ちました。クレジットカードのブランドを分散させておくか、あらかじめ一定の現金、あるいはWOWPASSなどを準備しておくことが、予期せぬトラブルを防ぐ最善の備えとなります。

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宮南池。風に揺れるハスと、歴史劇の美しい舞台

扶余に到着し、最初に足を運んだのは、百済の武王(ムワン)時代に造られたとされる韓国最古の人工庭園「宮南池(クンナムジ / 궁남지)」です。この美しい池の造園技術は、日本の飛鳥時代の庭園造りにも影響を与えたと言われており、歴史の繋がりを感じさせます。

広大な敷地に足を踏み入れると、そこには見渡す限りのハスが広がっていました。

大人の背丈ほどもある大きな緑の葉が静かに風に揺れ、その合間から凛としたピンクや白の大輪の花が顔を覗かせています。ハスが美しく開花するのは午前中から昼にかけての時間帯とされているため、大田を朝出発するスケジュールは非常に理にかなっていました。日差しを遮るものが少ないため、日傘や帽子、そして水分補給の用意は欠かせません。

また、この宮南池は、その優れたロケーションから数々の韓国歴史ドラマのロケ地としても知られています。

日本でも広く親しまれた時代劇『鉄仁王后(チョルインワンフ)』を熱心にご覧になった方であれば、物語の転換点となる水辺のシーンに見覚えがあるかもしれません。池の中央に佇む東屋「抱竜亭(ポヨンジョン)」へと続く一本の木製の橋、そして水面に影を落とす柳の木立を眺めていると、ドラマの情緒ある一幕が静かに思い出されます。


扶余の滋味。ブルーリボンが認めた『サビヒャン』の蓮の葉ご飯

宮南池の美しい調和を堪能した後は、心地よい空腹感とともに、道路沿いに専門店が軒を連ねる名物「蓮の葉ご飯(ヨンイッパプ / 연잎밥)」の街並みへ向かいました。

今回選んだのは、宮南池のほど近くにある『サビヒャン(사비향)』です。

入り口には、韓国の信頼できるグルメガイド「ブルーリボンサーベイ」のステッカーが静かに貼られており、地元の方々からも支持されているローカルの名店。メニューはシンプルに「蓮の葉ご飯定食」が軸となっており、その実直な姿勢に期待が高まります。

運ばれてきた大きな蓮の葉の紐をそっと解くと、温かい湯気とともに、ハスの持つ高貴でどこか爽やかな香りがふわりと鼻腔をくすぐります。

葉の中には、栗やナツメ、松の実、黒豆などが美しく配された、モチモチとした食感の滋味深いもち米ご飯が包まれています。さらに、ウロンムチム(タニシの和え物)の程よい辛みや、ジューシーなジェユクポックム(豚肉炒め)、焼き魚、丁寧に仕込まれたナムルなど、テーブルを埋め尽くすように並ぶ小皿(パンチャン)の数々は、地方旅ならではの贅沢なもてなしです。一口ごとに素材の優しさが染み渡り、扶余まで足を運んで良かったと静かな感動を覚えました。

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世界遺産を歩く。古都の静寂をまとう『定林寺址』の五層石塔

昼食を終えた後は、腹ごなしを兼ねて歩いてすぐの場所にある世界文化遺産「定林寺址(チョンニムサジ)」へと歩みを進めました。

ここは百済が最後に首都を構えたサビ(現在の扶余)の時代、その中心を担っていた由緒ある寺院の跡地です。現在は広々とした静かな礎石の敷地が残るのみですが、その中心に凛として佇む「定林寺址五層石塔」は、1400年以上の歳月を耐え抜いてきた本物の国宝です。

石塔の前に立ち見上げてみると、その計算されたプロポーションと、石造りでありながらどこか木造建築のようなしなやかさを感じさせる美しい意匠に目を奪われます。当時の優れた建築技術と、百済の人々が持っていた高い美意識がこの一本の塔に凝縮されているかのようです。

併設された博物館では当時の伽藍(がらん)の姿を再現したジオラマが展示されており、静寂の中でかつての仏教文化の隆盛に思いを馳せる、穏やかな時間を過ごすことができました。


白馬江クルーズ。ゆったりとした大河と、落花岩へのハイキング

歴史の余韻を感じながら、次に向かったのは百済の最後の城跡である「扶蘇山城(プソサンソン)」と、その麓を流れる大河「白馬江(ペンマガン)」です。日本史の教科書にも登場する「白村江(はくすきのえ)の戦い」の舞台となったこの大河を目の前にすると、歴史の大きなうねりを感じずにはいられません。

麓の船着場からは、かつての姿を再現したかのような、風情ある木造の遊覧船「黄布帆船(ウォンポボムソン)」が運航しています。

船に乗り込み、穏やかな水面を進み始めると、川面を吹き抜ける涼風が心地よく肌をなでていきます。水上から見上げる断崖絶壁「落花岩(ナッカアム)」は、荒々しい表情の中にどこか物悲しさを秘めており、独特の迫力があります。

船が到着した「皐蘭寺(コランサ)」の船着場からは、山頂にある展望台「百花亭」を目指して歩きますが、ここからは多少の体力を要する傾斜の強い山道が続きます。

道自体は綺麗に整備されていますが、急な坂や階段が連続するため、決して無理をせず自分のペースで登ることが大切です。特に暖かい季節は、ハンカチと水分補給用の飲み水を用意し、足元は歩き慣れたタフなスニーカーを選んでおくことを強くおすすめします。

息を整えながら辿り着いた山頂の「百花亭」から見下ろす白馬江のパノラマは、一見の価値がある素晴らしい絶景です。百済滅亡の際、多くの宮女たちが身を投げたという悲しい伝説が残る落花岩ですが、水上から見上げた険しい断崖と、山頂から見下ろす穏やかな水の流れの両方を体感することで、旅の記憶に深い陰影が刻まれます。


百次香。器の中で花開く、ハス茶の芸術に癒やされて

心地よい疲労感を覚えながら、バスターミナルへ戻る道中に立ち寄ったのが、伝統茶カフェ『百次香(ペクチェヒャン)』です。宮南池からもほど近い、静かな通りに佇んでいます。

ここでぜひ味わっていただきたいのが、看板メニューである「生蓮華茶(センヨンコッチャ)」です。

大きめのガラスの器が運ばれてくると、そこには開花を控えた美しいハスの生花が一輪、静かに浮かんでいます。お店の方が目の前でお湯を注いでくれると、熱を帯びたピンク色の花びらが、ゆっくりと時間をかけて美しく花開いていきます。その神秘的な光景は、まるでお茶の姿をした一つの芸術のようです。

完全に開いたお茶を静かに口に含むと、上品で爽やか、そしてほんのりとした甘みを持つハスの高貴な香りが広がります。温かいお茶が体にしみ渡るにつれて、歩き回った足腰の疲れが心地よくほどけていくのを感じました。

宮南池でハスを「目で見て」、サビヒャンで「味を楽しみ」、最後に百次香で「香りと美しさを五感で味わう」。扶余の豊かな自然と文化に調和する、美しい締めくくりとなりました。店内では、お土産にも喜ばれそうな、ハスの形を模した愛らしい「連花パン(ヨンコッパン)」も用意されています。


【復路】扶余から大田へ。帰り道の丁寧なステップ

心地よい余韻に包まれたら、大田(テジョン)への帰路につきます。帰りも同様に市外バスを利用しますが、確実に戻るための手順をまとめました。

① 扶余市外バスターミナルへの移動

カフェ『百次香』から、すべての出発点である「扶余市外バスターミナル(부여시외버스터미널)」までは、徒歩で約10分から15分ほどです。静かな街並みをのんびりと振り返りながら歩くのにちょうど良い距離です。

② 有人窓口でのチケット購入

扶余のターミナルは、どこか懐かしい小ぢんまりとしたローカルな佇まいです。大田の券売機での購入とは異なり、こちらは「有人のチケット売り場」が今も現役で対応してくれます。

窓口の係員の方に、目的地である「大田西南部(대전서남부 / テジョン・ソナムブ)」を伝えてチケットを購入します。大田には「複合ターミナル」行きのバスも存在するため、東横INNへ戻る場合や行きと同じルートを選択する場合は、明確に「西南部(ソナムブ)」と伝えるのが確実です。

時刻表では、「서대전」を探します。それなりに本数は出ていますよね。

対面の窓口であっても、海外発行のカード(特にJCBブランド)は端末の対応状況によって通らないことがあるため、ここでもやはりVISAカードを提示するのが一番安心です。

③ バスへの乗車と大田への帰還

出発時刻の数分前になると、プラットホームにバスが入線します。正面の行き先表示を確認し、切符を提示して車内へと進みます。

大田へと戻る場合は「대전서남부」の文字を確認して乗車します。帰り道も所要時間は約1時間20分。プチ登山でたくさん歩いて程よく疲れた体には、バスの適度な揺れが心地よく、静かなまどろみの時間を運んでくれます。終点の大田西南部バスターミナルに到着した後は、ターミナル前の乗り場からタクシーを利用すれば、15分ほどで我が家のような安心感のある「東横INN大田政府庁舎前」へと帰還することができます。

なお、旅のスケジュールによっては、ここから大田へは戻らずに、そのままソウルへ帰還したいという方もいらっしゃるかもしれません。扶余からはソウル方面へのアクセスも非常に良好で、主に「ソウル南部バスターミナル(서울남부)」行きの直行便が頻繁に運行されています。

ソウルまでの所要時間は約2時間から2時間10分ほど。地下鉄3号線に直結するターミナルへとダイレクトに運んでくれるため、大田から始まった旅の締めくくりをソウルで迎えるというルートも、地方旅の自由さを活かした素晴らしい選択肢となります。


都会の洗練と、古都の静寂を紡ぐ旅

大田の洗練されたモダンなグルメ(聖心堂の歴史あるパンや絶品の熟成肉)を心ゆくまで愉しんだ翌日に、バスでわずか1時間半の場所にある百済の古都へタイムスリップし、自然と歴史に癒やされる。この組み合わせは、2泊3日の韓国地方旅として、非常にバランスの良い大満足のスケジュールになったと感じています。

定番の観光地とはまた一味違う、韓国のディープで穏やかな地方の魅力がそこにはありました。

みなさんも大田を訪れる機会があれば、ぜひ「VISAカード」「歩き慣れたスニーカー」を用意して、魅力が静かに詰まった世界遺産の街・扶余へ一歩、足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。


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