【前編】伝統医学「四象(ササン)体質診断」の魅力とソウル・京東市場でのリアル体験レポ
流行りのサプリを飲む前に、まずは「自分を知る」ことから
みなさん、韓国旅行の目的が最近、少しずつ変わってきているのを感じませんか?
美味しいものを食べて、コスメを爆買いする「消費する観光」も楽しいですが、大人の韓国リピーターが今こぞってハマっているのが、自分の身体を内側から整える「インナーケア(生活養生)」です。
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SNSで「これが美肌に効く」「髪に良い」と流行しているお茶やサプリを、なんとなく買って飲んでいませんか?実は、それらがあなたの身体に合うかどうかは、あなたが生まれ持った「体質」によって180度変わります。
韓国には、人間を4つのタイプに分類してそれぞれの個性に合わせた食事やケアを行う「四象(ササン)体質」という独自の伝統医学があります。
今回は、この四象体質とは一体何なのか、そして私が実際にソウルの聖地「京東市場(キョンドンシジャン)」で診断を受けてきたリアルな体験レポを、読み応え抜群の完全ガイドとしてお届けします。健康や食事、美容に関心の高い方は知っておいて絶対に損はない、一生モノの知恵と言えるかもしれません。
四象(ササン)体質とは?韓国独自の伝統医学
「四象体質医学」とは、人間の体質を生まれ持った内臓の強弱、骨格、そして気質(性格の傾向)などから「太陰人(テウムイン)」「少陰人(ソウムイン)」「太陽人(テヤンイン)」「少陽人(ソヤンイン)」の4つのタイプに分類する、韓国で今も深く根付いている医学論です。
私たちがよく知る中国発祥の「漢方」は、基本的には病気の症状そのもの(熱がある、咳が出るなど)に対してお薬を調合します。
一方で、韓国独自の「韓方(ハンバン)」、特にこの四象医学は、「病気を見るのではなく、その人の生まれ持った体質を見る」というアプローチを取るのが決定的な違いです。
「同じ風邪薬を飲んでも、ある人はすぐに治り、ある人はお腹を下してしまうのはなぜか?」「同じものを食べているのに、太りやすい人と太りにくい人がいるのはなぜか?」という疑問に、完璧な答えをくれたのがこの体質分類なのです。
【歴史コラム】ドラマ『ホジュン』から紐解く、四象医学のストーリー
ここで少し、韓国ドラマファンなら思わずニヤリとしてしまう歴史の裏話をご紹介します。
韓国ドラマの医療劇の最高峰といえば、名医を描いた大ヒット作『ホジュン 〜宮廷医官への道〜』を思い浮かべる方も多いはず。大御所俳優のイ・スンジェさん演じる厳格な師匠(ユ・ウィテ)とホジュンの絆に、心を打たれた方も多いのではないでしょうか 。
ホジュンが活躍したのは16世紀末の朝鮮王朝時代。彼が編纂した医学書『東医宝鑑(とういほうかん)』はユネスコ世界記録遺産にも登録されていますが、実はこのホジュンの時代には、まだ「四象体質」という概念はありませんでした。
四象体質が生み出されたのは、そこからさらに約300年後の19世紀末(李氏朝鮮時代末期)のこと。イ・ジェマ(李済馬)という医学者が、ホジュンらの残した伝統医学をベースに、独自の臨床を重ねて完成させたのが「四象医学」です(チェ・スジョンさん主演で『太陽人 イ・ジェマ』というドラマも作られています)。
時を越えた名医たちのバトンタッチによって生まれた、由緒正しき韓国独自の知恵。そう思うと、なんだかワクワクしてきませんか?
【完全網羅】4つの体質タイプ別・特徴と「相性の良い食材 vs 悪い食材」
それでは、読者のみなさんも自分がどのタイプに当てはまりそうか、予想しながらチェックしてみてください。各体質の特徴とお悩み、そして日々の食事に活かせる「相性の良い食材・悪い食材」を均等に詳しく解説します。
① 太陰人(テウムイン)〜おがくずのようにエネルギーを溜め込む〜
- 特徴・お悩み:骨格がしっかりしていて、4タイプの中で最も肥満になりやすい体質です。水分や老廃物を体内に溜め込みがちですが、運動やお風呂でしっかり汗をかくと健康になるという面白い特徴があります。呼吸器系がやや弱い傾向があります。
- 🟢 相性の良い食材:黒豆、ハトムギ、栗、大根、レンコン、サトイモ、キノコ類、牛肉、タラ、イカ
- 理由:体内の余分な水分や老廃物を外へ排出し、新陳代謝を力強く促してくれる食材がベストです。
- 🔴 避けるべき(相性の悪い)食材:豚肉、鶏肉、貝類、エビ、カニ、ハムやソーセージなどの加工肉
- 理由:高カロリーで脂肪分が多いものや、体を冷やすシーフードは、太陰人の身体にさらに熱や脂肪、むくみを溜め込んでしまうため控えるのが賢明です。
② 少陰人(ソウムイン)〜冷え性でデリケートなシンデレラ〜
- 特徴・お悩み:下半身に比べて上半身が華奢な人が多く、几帳面でデリケートな気質。腎臓の機能が強い反面、胃腸(消化器系)がとにかく弱く、非常に冷えやすい体質です。冷えからくる血行不良や消化不良、エネルギー不足になりがちです。
- 🟢 相性の良い食材:山芋(マ)、もち米、生姜、ニンニク、ネギ、ニラ、カボチャ、鶏肉(サムゲタンなど)、羊肉、タチウオ
- 理由:冷えきったお腹を内側から優しく温め、弱った胃腸の消化吸収を助けてエネルギーを補ってくれる食材がよく合います。
- 🔴 避けるべき(相性の悪い)食材:豚肉、冷たい牛乳、ハトムギ、蕎麦(そば)、梨、スイカ、アイスクリーム
- 理由:身体を冷やす性質(寒性)のある食材や、消化に時間がかかる重い雑穀は、デリケートな胃腸を直撃して下痢や胃もたれを起こす原因になります。
③ 少陽人(ソヤンイン)〜体内に熱を秘めたアクティブ派〜
- 特徴・お悩み:上半身ががっしりしている反面、お尻や下半身が細めな体型。せっかちで活動的な気質です。胃腸の消化機能は非常に強いのですが、体内に「熱(火の気)」がこもりやすい体質です。熱がこもることで、ストレスによるイライラ、肌荒れ、頭皮の乾燥(抜け毛)、便秘を招きやすいのが悩みです。
- 🟢 相性の良い食材:大麦(ボリ)、黒ゴマ、緑豆、白菜、キュウリ、ナス、トマト、イチゴ、豚肉、鴨肉、カニ、アサリ
- 理由:体内の余分な熱をスッキリと冷まし、乾燥しがちな肌や頭皮に豊かな潤い(水分)を補給してくれる食材がベストです。
- 🔴 避けるべき(相性の悪い)食材:鶏肉、羊肉、高麗人参、生姜、唐辛子、ニンニク
- 理由:身体を激しく温めるスパイス類や、熱性の高いお肉(鶏肉など)は、少陽人の「火の気」をさらに燃え上がらせ、頭皮の乾燥や便秘を悪化させてしまいます。
④ 太陽人(テヤンイン)〜1万人に数人の超レア体質〜
- 特徴・お悩み:首回りが太く存在感がある一方で、下半身が弱りやすい体型。肺の機能が非常に強い反面、肝臓の機能が最も弱い、非常に珍しい体質です。エネルギーが上半身へ上りやすく、熱がこもると消化不良を起こします。
- 🟢 相性の良い食材:蕎麦(そば)、ハトムギ、キウイ、葡萄(ぶどう)、パイナップル、山菜類、タコ、イカ、エビ、カキ、太刀魚
- 理由:熱を上から下へと降ろしてエネルギーを循環させてくれるあっさりした食材や、弱りやすい肝臓をいたわる酸味のある果物が合います。
- 🔴 避けるべき(相性の悪い)食材:牛肉、豚肉、鶏肉(すべてのお肉類)、高カロリーな脂っこいもの、お酒
- 理由:肝機能が弱いため、お肉などの重い脂質や高タンパクな食材を分解するのが大の苦手です。食べすぎると身体に熱がこもり、体調を崩しやすくなります。
【実体験レポ】ソウルの「京東市場」で体質診断をしてきた話!
自分の体質にアタリはつきましたか?「文字だけじゃ分からない、プロに見てもらいたい!」と思いますよね。そこで、私が実際に足を運んで感動したソウルの体験スポットをご紹介します。
向かったのは、地下鉄1号線「祭基洞(チェギドン)駅」からすぐ、街中が韓方の香りに包まれている韓国最大の伝統市場「京東市場(キョンドンシジャン)」です。この市場の目の前にある、美しく近代的な建物「ソウル韓方振興センター(ソウル薬令市韓医薬博物館)」が今回の目的地です。
ここでは、旅行者でも信じられないほど手軽に、かつリーズナブルに「四象体質診断」を受けることができます。

館内にある最新のキオスク(タブレット端末)の前に立つと、まずはカメラによる顔認識がスタート。さらに、自分の体型の特徴や日常の体調に関する簡単な質問に画面上で答えていきます。
私の結果は「少陽人(ソヤンイン)」!
日頃から感じていた「ストレスが溜まると顔や頭皮が熱くなる感じ」や「冷たい牛乳を飲んでもお腹を壊さないタフな胃腸」など、自分の体感と見事に一致していて、「なるほど、だからだったのか!」と心の底から納得してしまいました。

さらに嬉しいのがここから。診断の後は、自分の体質(少陽人)に最も合う温かい韓方茶を淹れてもらい、中庭の美しい伝統家屋のテラスで「韓方足湯」を体験することができます。
ソウルのローカルな活気を感じながら、自分の身体のためだけの贅沢な時間を過ごす体験は、これまでのどんなショッピングよりも深く、心に贅沢な思い出として残りました。
まとめ:自分を知ると、韓国旅行はもっと深く、美しくなる
自分の体質(4つのケース)を正しく知ることは、これからの韓国旅行を何倍も豊かにしてくれます。
「今回はちょっと身体に熱がこもっているから、少陽人に合うサムギョプサル(豚肉)にしよう」「熱を上げるタッカンマリ(鶏肉)は今日は控えめにしよう」といったように、旅行中の食事選びに明確な軸ができるためです。
ソウルで自分が「少陽人」であると確認した私は、後日、釜山(プサン)の富平カントン市場へと向かいました。お目当ては、100%韓国産の挽きたて雑穀粉をオーダーメイドできる専門店「デボソンシク(大宝禅食)」です。
自分の体質データをベースに、お店のスタッフへ「少陽人向けの美髪・健康ブレンド」を注文した具体的なお買い物レポは、【後編】へと続きます。
JCBカードの利用事情や、間違えずに伝えたいアレルギー対策の韓国語フレーズ、カントン市場の食べ歩きグルメまで一挙にご紹介しますので、ぜひ続けてチェックしてください。
▶︎ 【後編】「釜山カントン市場『デボソンシク』で体質特化のブラックフード禅食をオーダーしてみた!」へ続く